• BCP対策(事業継続計画)

オフィス家具の転倒防止対策|オフィスの地震対策のポイントと併せて解説

オフィス家具の転倒防止対策|オフィスの地震対策のポイントと併せて解説

オフィスは、多くの人が一日の大半を過ごす場所です。そのため、地震などの自然災害に備えた安全対策は非常に重要となります。特に、オフィス家具は、地震の揺れによって転倒、落下すると、従業員に大きな被害をもたらす恐れがあります。

そこで、本記事では、オフィスの地震対策におけるオフィス家具の転倒防止対策について、その重要性と具体的な方法について解説します。

オフィスにおける地震対策|3つのポイント

オフィスにおける地震対策の重要なポイントを3つ挙げます。

まず、地震が発生した場合、最優先事項は従業員や来訪者の安全を確保することです。そのために日頃からの適切な安全対策と訓練が不可欠です。

さらに、地震が起きた後は、社内に滞在している従業員や来訪者のために、食料や水、簡易トイレ、医療の応急処置などが必要となります。これらの物資を提供し、一時的な避難場所としての機能を果たすことが求められます。

また、復旧作業が進行している間、事業を停止せずに維持することも大切です。迅速な事業再開ができるよう、適切な事業継続計画(BCP)とリソースが必要です。

オフィスの地震対策は、事業の持続性を確保し、従業員と来訪者の安全を守るために欠かせない要素です。

以下に、段階別に詳しく解説します。

安全を確保する

地震が発生した場合、最優先事項は従業員と来訪者の安全を確保することです。そのためには、地震に対する計画を策定し、日常的な備えを整えておくことが肝要です。従業員に対しては、災害時の手順を示すマニュアルを配り、定期的な防災研修や避難訓練を実施し、地震発生後の2次災害(火災、津波、液状化、土砂崩れなど)への対策も含めて訓練を実施しておきましょう。

また、オフィスビル自体も慎重に選ぶ必要があります。地震が発生した場合、建物に損傷が生じると、従業員の安全が危険にさらされてしまいます。従って、震度6強~7程度の大地震でも建物が倒壊せず、震度5程度の地震に対してほとんど損傷を受けない新耐震基準に適合したオフィスビルを選択することが望まれます。

さらに、オフィス内の具体的な地震対策として、オフィス家具の適切なレイアウトや転倒防止対策、ガラスへの飛散防止フィルムの貼付、そして落下の危険性のある物品への落下対策や除去などを行う必要があります。これらの対策リストを作成し、地震に備えて実施しておくことで、オフィスの安全を確保することができます。

一斉帰宅の抑制による帰宅困難者に対応する

大規模地震が発生した際、従業員にはオフィス内に留まるよう指示する必要があります。これは、公共交通機関が停止し、大勢の人々が徒歩での帰宅を一斉に試みることで道路や橋が混雑し、救助活動や緊急車両の通行が妨げられる可能性があるためです。

大規模地震の直後は、倒壊した建物や落下物、火災などの危険があるため、徒歩での長時間の帰宅は危険を伴う可能性があります。従業員の安全を確保するため、帰宅を控え、オフィス内に留まるよう指示することが重要です。

このため、事前に備蓄品を用意しておく必要があります。従業員を数日間支えるために、食料、水、簡易トイレなどを備蓄しましょう。復旧が進むまでの最低3日分の備蓄が推奨されています。

安否確認や連絡手段も事前に従業員に周知しておきましょう。通話が難しい状況下では、LINEなどのSNSを活用した連絡方法が有効です。また、被災地域全域に提供される災害用無料Wi-Fi「00000JAPAN」(ファイブゼロジャパン)の活用方法や、災害用伝言ダイヤルの利用方法を社内で合意し、従業員に周知しておくことが重要です。携行カードとして配布するなど、常に身につけられる形で手段を提供することも有効です。

事業を継続させる

大規模地震の発生は、企業経営に深刻な損害をもたらし、顧客への供給責任や社会に対する貢献を果たせなくなる可能性があります。特に重要なサービスの提供者であれば、社会生活に大きな影響を及ぼしかねません。

このような状況を回避するためには、企業は大規模地震に備え、素早い復旧を目指す対策を講じる必要があります。そのために、事業継続計画(BCP)の策定が不可欠です。

BCPは、事業影響度分析を通じて、サービスの復旧に優先順位をつけ、そのための具体的な対策を事前に計画します。たとえば、支店での業務をリモートで代行する方法や、自社工場の被害時にパートナー企業に代替生産を依頼する手段など、バックアップ体制の構築が重要です。これにより、顧客や社会への影響を最小限に抑えることができます。

資金や設備のバックアップも重要です。予備資金を確保し、設備の維持管理や災害時の迅速な復旧を考慮することが肝要です。また、非常招集メンバーの選定や緊急時の対応策の準備も不可欠です。

BCPの策定に関しては、行政や商工会議所などが支援を行っています。そこでは、専門家からの助言や実践的な情報を得ることができます。積極的にこのような支援を活用し、BCPを策定することで、企業の継続性を確保しましょう。

(参考サイト)

大阪商工会議所、BCP策定サポート

※Aコース(2日)支援コースは無料です。専門のコンサルタントによるアドバイスのもと、基本的なBCPの策定を行うことができます。

地震対策を考慮したオフィス家具のレイアウト計画

大規模地震への対策として、オフィス家具のレイアウト計画は、従業員の安全性確保やBCPの要素としても、オフィス家具の転倒や落下による損傷を最小限に抑えることが重要です。従業員の避難や被害の最小化のために、慎重にオフィス家具のレイアウトを検討することが必要です。

次に、地震対策を考慮したオフィス家具のレイアウト計画の3つのポイントを解説します。

避難経路を確保したレイアウトにする

オフィスの避難通路は、大規模地震などの災害時に、従業員が安全に避難するために重要な役割を果たします。そのため、オフィス室内の避難通路は十分な幅を確保し、通路をふさぐような物品の配置を避け、袋小路にならないようにレイアウトすることが望まれます。

  • オフィス室内の避難通路の幅は、できるだけ1.2m以上を確保する。
  • イスがある場所では、イスのスペースを考慮して、より広めの幅を確保する。
  • 避難通路には、倒れて通路をふさいでしまいそうなキャビネットなどは配置しない。配置する場合は、転倒防止対策を施す。
  • デスクの位置を、袋小路にならないようにレイアウトする。

    背の高いオフィス家具はデスク周辺に配置しない

    大規模地震が発生した場合、背の高いキャビネットなどは転倒する可能性があります。転倒したオフィス家具は、従業員に当たって大けがをさせたり、避難経路をふさいでしまったりする恐れがあります。

    そのため、背の高いオフィス家具は、デスク周辺に配置しないことが重要です。背の高いオフィス家具をデスク周辺に配置していると、以下のような危険があります。

    • 地震で転倒して従業員を負傷させる可能性がある
    • 内部のものが落下して従業員を負傷させる可能性がある
    • 避難経路をふさいでしまい、従業員の避難を妨げる可能性がある

    デスク周辺に配置するオフィス家具には、次の対策を検討しましょう。

    • 背の低いオフィス家具に変更する
    • オフィス家具には転倒防止対策を施す
    • 内部の落下の恐れのある物は取り除くか、落下防止対策を施す

    間仕切りとしてキャビネットなどのオフィス家具を使わない

    オフィスの間仕切りにキャビネットなどのオフィス家具を使用することは、地震対策が十分でないと、大規模地震時に甚大な被害を起こす可能性があります。

    特に、キャビネット単体で配置した場合は、大規模地震の際、転倒する可能性が高いです。転倒したキャビネットは、従業員を負傷させたり、避難経路をふさいでしまったり、大きな被害を及ぼす可能性があります。

    そのため、オフィスの間仕切りにキャビネットなどのオフィス家具を使用する場合は、以下の対策を講じる必要があります。

    • 壁や床に固定する
    • 背の高いキャビネットは単体では配置せず、背中合わせで配置し、連結金具や固定ビスでオフィス家具同士を連結する

    これらの対策を講じても、大規模地震の際、完全に転倒を防ぐことはできません。オフィスの間仕切りには、できるだけオフィス家具を代用せず、ローパーテーションや観葉植物を置くなど適切な間仕切りをするように検討しましょう。

    オフィス家具の転倒防止対策

    オフィス家具の転倒防止対策には、以下の方法があります。地震対策として、これらの方法を組み合わせて使用し、転倒リスクを最小限に抑えることが重要です。

    上下連結

    上下に積み重ねたキャビネットを、固定ビスを使用して上下同士で連結する方法です。

    地震の際に、上段のキャビネットが落下するリスクがあるため、上下の連結を必ず行うことが大切です。

    横連結

    横に並べたキャビネットを、固定ビスを使用して左右同士で連結する方法です。

    地震の際に、左右同士の重量で互いの揺れを支え合うため、単独で立っているよりも転倒しにくくなります。

    施工写真 オフィス家具の横連結

    背面連結

    背中合わせに置いたキャビネットを、固定ビスを使用して背面同士で連結する方法です。

    キャビネットは単体で置くと地震の際に転倒するリスクが高いため、壁がない場所にレイアウトする場合は、背中合わせに置いて連結することが推奨されます。キャビネットの重量と厚みが増すことで、転倒しにくくなります。

    背面連結|オフィス家具の背面同士で連結する方法の写真

    壁固定

    キャビネットの天板と壁をL字金具で固定方法です。

    特に背の高いキャビネットの上部を壁に固定することは、揺れによる転倒を抑制する上で効果的です。

    壁固定|オフィス家具の天板と壁を固定する方法の写真

    床固定

    キャビネットの足元と床をL字金具で固定する方法です。

    キャビネットが転倒する際に床から浮き上がることを防ぎ、転倒を防止します。また、キャビネットの横ずれを防ぎ、避難経路をふさいでしまうことを防止します。

    床固定|オフィス家具と床を固定する方法の写真

    頭ツナギ

    キャビネットの上部を、頭ツナギ材を使用して連結する方法です。

    キャビネットを書庫内で島状にレイアウトする際に、転倒防止対策として施されます。隣合う島のキャビネット同士を連結することで、互いに支え合い、揺れによる転倒を防ぎます。

    頭ツナギ|キャビネットの上部をツナギ材で連結する方法の写真

    まとめ

    「オフィス家具の転倒防止対策」を実施することは、従業員の安全を確保するための重要な措置です。適切な地震対策によって、オフィス内の家具が転倒したり崩れたりするリスクを軽減し、潜在的な災害からの被害を最小限に抑えます。このような対策を適切に実行することで、業務継続性の確保や従業員の安全な避難をサポートすることができます。従業員の安全と事業継続の両方を保護するために、事前の対策と計画が極めて重要です。

    法人専門移転プロでは、豊富なオフィス移転の経験と専門知識を活かし、地震対策を講じたオフィスレイアウトをご提案しております。また、オフィス家具の転倒防止対策工事に関する個別のご依頼もお引き受けしております。

    大阪7区にて、オフィス家具の転倒防止対策についてご検討中でしたら、ぜひ法人専門移転プロにご相談ください。